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梅雨

なかなか梅雨入りしないと思っていたらいつの間にか梅雨らしい空模様になってきた。
この日本独特の雨の季節はフィルムで風景を撮っていた頃の写真家にとっては
天敵そのものだった。
そんな写真家の片割れである僕も雨の日にはふてくされて
ふとんにもぐり込んでいたものだ。

しかし、今では雨が降ると外へとびだしたくなる。

こんな雨好きになるきっかけは福井県の小浜で出会った雨のおかげだ。

もう15年以上も前の事になるが梅雨も終わりの蒸し暑い
小浜を撮影していた時、突然雲行きが怪しくなって
雨が落ち始めた。
近くに、名前は忘れてしまったが寺が見えたのでとりあえず
その寺の山門に逃げ込んだ。

その時に見た、雨に濡れて生き生きとよみがえる寺を囲む紫陽花や木々の姿、山門から滴り落ちる雨つぶの輝きに胸が弾ける思いがしたのだ。

 

雨を撮ってみようかな」

 

と思った瞬間だった。

しかし雨ばかり撮っていると、濡れるし、寒いしなかなかモチベーションを維持するのが
難しいのだ。
梅雨の後半などは暑くて汗だくの上に雨で濡れたままエアコンの風に冷やされて
風邪をひいてしまう。
だから、ぼちぼち体をいたわりつつゆっくりと撮影を続けている。

フィルム時代はワンカット、ワンカットを大事に撮ったので種類は多くても

枚数は少なかった。

だから一枚一枚想いのこもった写真が多い。

 

デジタル時代になっても初めの頃はフィルムの癖がぬけずフィルムと同じような数しか

シャッターを押さなかったものだが、今はちゃかちゃかと撮っている。

 

それでも若い写真家諸氏に比べると圧倒的に少ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、子供向けの雨の本のための撮影をしている。

少し新鮮な、以前と違う、きりりとした雨の写真を撮ろうと頑張っている。