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フォトレック多摩川(3)

多摩川が最も汚れていた頃。

 

1700年代~1800年代の多摩川は近寄ると嫌な臭いがするほど汚れていた。

 

流域の下水処理施設が不十分だったころである。

特に週末になると風呂に入る人が増えるのか、水温が上昇し洗剤や石鹸の泡で川とは思えないくらいの汚染度だった。

 

冬になると二子多摩川の堰下は泡で覆い尽くされたものである。

その頃から多摩川に鮭の稚魚を放流する試みが始まり、心からその汚水の中を泳ぐ鮭の稚魚に同情したものだ。

そんな多摩川を人々はいまいましい想いで眺めていた。

 

もっと川に密着した暮らしをしたいとおもう気持ちが悪口になって返って来る。

白い泡の中で舌打ちをしながら魚を釣る人や眉間に皺を寄せながらボートを漕ぐ人達の近親憎悪にも似た感情が印象的だった。